ポメラニアンのシザー仕上げ
生きた蹴鞠と例えられるほどに丸い体のポメラニアン。
体バリカンではなくハサミで仕上げる仕上げ方をご紹介します。
筆者はお客さんの注文で
名前
名前
名前
と言われた際にはこのスタイルを基本として長さの調節で仕上げています。
昔、実技講習していた内容で、少しでもわかりやすく図解と写真でご覧ください。
ポメラニアンの基本的な形の特徴
- はと胸
- たれ尻
- 桃尻
- 猫足
- アンダーはアーチ型
- 耳はへの字
- 尾は扇型
ざっとこんな感じでしょうか。
この全体のイメージをもとに各箇所のカットを順を追って説明していきます。
まず足回りをカットします。
猫足にするために、足の握りがよく見えるように爪の際を短くギリギリにカットし、足のサイドの幅も足首の幅をそのまま足先までストレートに下ろすようなイメージで指の横幅を短く好きバサミでカットします。
指の厚みを残すことで握りをよく見せる工夫と、足先と足の前側距離をできるだけ短くするために足の前側の毛をできるだけ残しましょう。
飛節から下、パスターンから下は真っ直ぐ垂直に飾り毛を落とします。
- 猫足に見せるために取る部分と残す部分を把握してカットしましょう。
- 指の長い子の場合は前足の中2本の爪を見せて握りをよくするテクニックもあります。
まずは尻尾の根本を肛門から1センチほど上に裏とサイドをスキで短くとります。
そして肛門から陰部までの一直線(5ミリ幅ほど)をスキバサミで地肌につけて短くカットし桃尻の筋を作ります。
横から見て尾軸の根本から飛節までを3つに分けて下1/3が頂点になるように丸くラインを取ります。
とったラインから内側と外側に向けて桃尻になるように割ります。
内側は陰部や睾丸に気をつけて、しっかり指でカバーしましょう。
- 横から見た時に、「たれ尻、かつ、上から見たら桃尻」という、この複雑ですが立体的な曲線をしっかり頭にイメージしないと取りすぎたり、気づかないうちに重心が上がってしまったりするので注意しましょう。
胸はお尻とは反対に上側の1/3を頂点にした丸みを作ります。
下側からの切り上げを先に切って、残り1/3を上から繋げましょう。
お尻の上側の斜めの角度と胸の下側の斜めの切り上げの角度を同じにするとバランス良く作れます。
サイドから見たラインが作れたら両肩へ向かって丸みをもたせてつなげます
- 上から見た胸の丸みの各高さにおけるのRが違うので注意しましょう。
- 足に近いとRは小さくて頂点の高さの部分は一番Rが大きいのですり鉢状の胸が出来上がります。
ラストリブを目安に、アンダーラインの頂点を設定しアーチ型にカットします。
そのアーチを外側に持ち上げてくるようにウエストをえぐります。
お尻からの丸みと胸からの丸みをウエストのえぐりにつながるように曲線で自然に繋げます。
- 膨らむ前後からの丸みがウエストのえぐりとつながるので上から見たら瓢箪のような形になります。
耳は鼻から目頭を通る延長線上に耳の頂点を設定し内側2:外側3ぐらいになるように、耳付きが高く見えるように内側を短くカットし、耳自体は先だけの毛を揃えます。角度は120度ぐらいの鈍角になるように。
尻尾、背中、お腹周りをカットします。
尻尾は扇型にカットしますが長さが短い子はうなぎ犬のような形にする場合もあります。
背中は下から切り上げて残っている一番上の角と、お尻尾の前の付け根の部分に残ってる角を自然に体の丸みとつなげてカットします。
お腹周りもカットしてラインを取ります
- お腹周りを切るときはアンダーラインを干渉しないように内側の角だけを取ります。
完成
しっかりと面が揃っていればアウトラインのシルエットがくっきり見えるはずです。
長さの応用がきくカットスタイルです
この基本の形を覚えていれば長さの長短で、カットのバランスを変更できます。
「どう見せる」ために、どういうラインをとっているのかをしっかりと頭に入れてカットすれば、それほど難しい犬種ではないと思います。
皆さん素敵なトリマーライフを!